2011年
4月、5月
日頃から減農薬に心がけ、農薬散布を必要最小限とすること、及び出来るだけ環境に優しい農薬で対処することに心がけて
います。
今年は3月末から6月にかけ殺菌剤の散布を6回行い、そのうちの半分は環境に優しいうどん粉病の予防・治療薬カリグリー
ンである。残りの3回は殺菌剤の濃度を薄く散布しています。
うどん粉病が発生した株は(黒砂糖+米の研ぎ汁)や強酸性水で葉っぱを洗うなどで対処しています。
害虫に対してはやや無防備の状態です。
完全に無防備と言う訳ではなく、出来るだけ天敵や有用菌などの働きで害虫を防除したいと思っています。
ヒメコガネ
ヒメコガネは日本全土に分布。
成虫は春から秋にかけて発生し、バラの他、豆科植物など様々な植物にやってきて花や新芽葉っぱを食べる。そして交
尾し、地中に卵を産み付ける。
2011.9.10 ヒメコガネの交尾
(花園で交尾なんて洒落ていますが。。。)
幼虫は地中で生活し、植物の根を食べる。バラの他農作物や芝などの根を食べて枯らすこともあり、成虫同様に憎い存
在である。卵から成虫まで通常1年ほど地中で生活するが、寒冷地では2年かかることもある。
2011.9.4 写真:芝生の根切りをした時に数匹出てきたコガネの幼虫。
このほか薔薇の植え付け穴を掘っていると、数匹の黄金虫の幼虫を見かける。その種類も大きいのから小さいのまで様々生息
している。
コガネムシの種類は非常に多く、我が家のバラの葉っぱや花に集まる種類だけでもカタモンコガネ、ヒメコガネ、ア
オドウガネ、マメコガネ、コフキコガネ、シロテンハナムグリ、コアオハナムグリ、アオハナムグリ等がいる。
これらのコガネ類は昼間によく見られ、葉や花に固まって葉や花を食べていることが多い。動きは少し鈍く、わりと簡
単に捕えることができるが、手を近づけると自ら落ちて逃げようとすることもある。
このほかに夜行性のものも多い。
4月、5月
薔薇が咲き始めると、ハナムグリや小さなコガネムシが現れ、今年は去年より花の数が多い分ハナムグリもコガネも多い。
ハナムグリやコガネはバラの内、白系統の香りの良い(強香)花が好物のようで、特にヘリテージ、ジェフ・ハミルトン、
シャリファ・アスマ、ナヘマ、アブラハム・ダービー、セプター・ド・アイル、スパニッシュビユティ、アンジェラなど、下
の写真のコガネやハナムグリを多く見かけ、咲き始めの花や蕾そして新芽や葉っぱが被害に遭っている。
テデトール/フミツブース
一番花の季節、一番多くやっかいなハナムグリやコガネ。出没順・多い順に記載しています。
スパニッシュビユティの中のカタモンコガネ。右下はその糞(下の写真)
カタモンコガネ:体長=8〜9mm
体は小さいが食欲旺盛、蕾の内から中に入り込み花弁やシベをかじり、その後は無惨な状態になります。
ヘリテージの中のカタモンコガネ 囓られると花が汚れます。
ハナムグリの種類は去年と同じです。
エヴァ・ド・グルゾブレのシベを食べようとしているコアオハナムグリ(下の写真)
コアオハナムグリ:体長10〜14mm
ハナムグリは花の中に首を突っ込んで花弁やシベを食べます。
アブラハム・ダービーの花弁を食い荒らしているコアオハナムグリ(写真下:初期段階)
一夜でこの状態。
バラの花が本当に汚くなります。
6月、7月、8月
ヒメコガネ:12.5〜16.5mm(下の写真:バラの葉を食べている多分ヒメコガネ?)
この時期一番多くやっかいなのはヒメコガネ、バラの花と蕾、そして新芽を食い荒らし、ニトルアー(マメコガネ)には掛
からない。我が家ではその数がやたら多い。
我が家のように元畑地にバラを植裁している所ではその生息場所は庭(畑)全体となり、芝生から畑(実は雑草地)、果樹
園まで全部で500坪程ある。
一方住宅地で近くに幼い子供もいる事から強い農薬などはあまり使いたくない。また高価な薬剤も散布出来る限度がある。
従って、今のところテデトール、フミツブースしかないのである。
テデトールの数をカウントしたところ、8月上旬は毎日4・50匹を捕獲している。中旬以降少し減少して
3・40匹前後になったが、不純な天候と関係するかもしれない。9月になり10匹前後に激減する。
(写真下:ヒメコガネ 12.5〜16.5mm)
8月中旬以降、アオドウガネ、マメコガネ、コアオハナムグリ等黄金虫の種類が多くなってきた。
(写真下:2011.8.21:ドウガネブイブイ 〜25mm)
こちらの写真がわかりやすいかな?
(写真:2011.8.22:アオドウガネ 18〜25mm)
体が大きい分食欲旺盛です。
(写真:マメコガネ9〜13mm 2011.8.27)
我が家ではマメコガネは8月中旬頃から目だつようになり、主に花の中で見つけることが多い。
羽の下の白い縞模様の体毛に特徴があり、見分けることが出来、とても小さくて食欲旺盛。
アメリカでは輸入球根に混ざって進入して大繁殖、作物や芝生を枯らす昆虫「ジャパニーズビートル」と呼ばれて嫌われ恐れ
られた。
テデトール/フミツブースは効率が悪い、しかも気持ちの良いものではない。
何とか効率の良いスマートな方法は無いかと考えている毎日なのである。
雌の性フェロモンで雄コガネを誘引するトラップ(ニトルアー)の設置
ニトルアー(マメコガネ)は雌の性フェロモン+ニオイ(α)で雄の成虫+αを誘引する仕組み。他の昆虫や野鳥人体など
には無害で、環境に優しい事が大きな魅力です。
早速、2010年7月に購入して設置。
黄金虫の雌?の性フェロモンで雄をおびき寄せるため選択性が強い。この為現在購入しているマメコガネセットではマメコ
ガネ少しとシロテンハナムグリ(+αのニオイに寄ってきた)は沢山掛かります。
しかし、私のバラ園で最大の食害を及ぼしているカタモンコガネ、コアオハナムグリ、ヒメコガネ、アオドウガネ、ドウガ
ネブイブイ等は全然掛からないのでやっかいです。
ニトルアーの設置(2010.7末 1基目を設置)
ニトルアーの設置(2011.7末 2基目を設置)
注:木に巻き付けてある白いはちまきは、バイオリサ(カミキリ):カミキリムシがはちまき
の上を歩くと昆虫病原性糸状菌「 ボーベリア・ブロンニアティ」(Beauveria
Brongniartii)がカミキリに付着し、体内に進入し繁殖して殺してしまう微生物殺虫剤。
2011.8.13全ての植木に設置。
この微生物殺虫剤も人間は勿論他の昆虫や密蜂・魚類には無害(無毒)であり、環境に優しい殺虫剤。
2週間で掛かったニトルアーの中(シロテンハナムグリ:16〜25mm 100匹以上)
薄暗い中筒の中身を撮っているため筒の部分が変色、外側の空色は本当は緑色です。(2011.8.16撮影)
9月3日も同等に捕獲
9月上旬は数匹捕獲できたが、それ以降は殆ど黄金虫がいなくなった。
結論として、性フェロモン誘引剤を利用したトラップ(ニトルアーやニューウインズパック)
は種の選択性があり全種類のコガネを捕獲するには少なくとも黄金虫の種類ほどの性フェロモンが必要です。しかも、カタモ
ンコガネなどの性フェロモンは無いようです。
バチルス菌や線虫による黄金虫幼虫の駆除
現在、アメリカでマメコガネ対策用に開発されたバチルス菌(バチルス ポピリエBacillus
Popilliae)を利用して地中にいる黄金虫幼虫類を死滅させるMillky Sporeがある。
散布は棒状のスポイラーにバチルス菌の粉末を入れ芝生やバラ園の土の上約1.2m間隔にバチルス菌の胞子を撒き(突
き)その後散水する。バチルス菌が2〜3年で土壌にまんべんなく広がって黄金虫などの幼虫に寄生して完全に死滅させる。
(40ポンド1万円程度)
日本においては天敵線虫(スタイナーネマ グラセライ)を利用して黄金虫の幼虫類を死滅させるバイオトピアが
ある。土中のコガネなどの幼虫に寄生し(体内に入り込んで)数を増やし死滅させるもので、幼虫の選択性はない。
後者は、線虫を培養した粉末を水に混ぜ拡販しながら散布する。(約1パック18000円)散布機器の整った農場では比
較的簡単に散布出来るが、機器のない個人バラ園ではジョウロのようなもので散布するしかないのでかなり難しいと思ってい
る。
これらの方法は地中に住む黄金虫等の幼虫類全部に効果があり(希望的にも)、農薬ではないため他の昆虫類・魚・蜜蜂・
野鳥・人体には無害と表示されている。
私は雑草地を含め500坪程あるバラを植えている前庭でMillky Sporeを何とか手に入れその
効果を試したいと思っている。※その後調査した結果、残念ながら日本では蚕を生産しているため輸入禁止となっているよう
だ。
鉢栽培のバラ
8月下旬、パット・オースチンの花は、直射日光を受けると1日でちりちりとなってしまい、夏場の直射日光に弱い。それ
ではと、西側にツルアイスバーグを植え、少しでも日照を少なくしたら。。。と思い立ち準備にかかる。
幸いORなど4月に買った1年苗が10鉢ほど有る。その中からツルアイスバーグを選び、穴を掘って準備完了となった。
4月に植えたアイスバーグを鉢の横をコブシで叩いて鉢から抜くと、底の方に小さな黄金虫の幼虫がごろごろ20匹ほど出
てきた。僅か4ヶ月でこうなるのかと改めてコガネの恐ろしさを知った次第です。
発見が早かったため根はあまり痛んでおらず、季節が夏と言うこともあり、あまり鉢の形を崩さないまま地植えにすること
が出来ました。
コガネ成虫は地表から数センチのところに2〜30個のタマゴを生みつけ、幼虫は小さいうちは土表面に近い根を食べ、食
べる根がなくなると、更に土の深くにもぐって根を食べていくのだそうです。
ですから、バラの根元に生えた雑草や、寄せ植えした草花の調子が悪くなる時は、コガネムシの存在を疑って早めに処置した
方が無難だとか・・バラの根よりも地表に近い草の根の方がまず先に被害に遭うことが多いそうです。でも、これを発見する
のはチョット難しい。。。
近くのバラ友はコガネは腐葉土や牛糞を沢山使う程沢山居ると言います。どうも植物の根だけ食べているのではなく腐葉土
なども食べているようです。コガネとよく似たカブトムシの幼虫は腐葉土などを主食にしている事からも納得出来ます。
幼虫を発見するには、表面の土が乾きにくい鉢、他と比べて成長が悪い鉢など、注意深く観察し、この様な鉢の中にはコガ
ネを疑ってみる方が良さそうです。
また、先にも書きましたが、黄金虫は初めは土表面から数cmの所から徐々に下の方にもぐるため、表土が異常に柔らかく
なる。そうです。
水張り検査、少し大き目のバケツ等に水を入れ、鉢土の表面まで浸かるようにする。数分で息苦しくなった
幼虫が出てくるそうです。
2011.9 水張り検査
外側の空色がバケツ 1年苗のラレーヌ・ビクトリア「合格」コガネの幼虫は居なかった。
私の場合、1年ほどで地植にするからと安易な気持ちで、コガネの被害から鉢を守る処置をしていなかった事が原因。
コガネが鉢の中に産卵しないようにマルチマット(ヤシガラマット)・不織布等でマルチングをするとか、土の中にピート
モスを混ぜたり、事前にダイアジノン粒剤等を混ぜ消毒をする等の必要があると感じた次第です。
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